介護キラリ☆ホット

皆様に役立つ介護情報を提供できればうれしいです!

リスクマネジメントの必要性と実践のポイント!

皆様、今日もいそいそと働いております!

こんにちはー!今日は何について勉強していくのかな?

今日は特別養護老人ホームにおけるリスクマネジメントについてちょこっと勉強していければと思います!

リスクマネジメント?ヒヤリハットとか事故・過誤とか?

そうそう!最近研修をやったのでぜひ皆さんにも共有できればと思ってね!

そうか!では一緒に勉強していきましょう!

 

 

1.リスクマネジメントとは?

リスクマネジメントとは、リスクの予見とリスクの回避による防衛手法です。

【リスクの予見】

事前に起こり得るリスクを予見(予想)する事。

【リスクの回避】

予見(予想)したリスクから回避する方法を導く事。

という解釈になります。

ちょっと難しいね笑

そうだね!では身近なもので簡単に説明しましょう!

まずは、分かりやすく説明すると・・・

 

これをしないと、ああなるだろうから、こうしよう!です。

 

おお笑 なかなかダイナミックな説明ですね!

そうだね!身近なもので例えると、例えば街中にある信号機はなぜあるのかって考えたことある?

昔は考えたのかもしれないけど、今はまったくないね!笑

ではこの機会に考えてみましょう!

 

《例:信号機》

交通量が多い街中の信号機はなぜあるのか?

①-1 交通量も多いし一定のルールがないと事故が起こるから。(リスク予見)

   →信号機をして事故を防ごう!(リスクの回避)

以上のように、事故が起こる事が予想される道路に信号機を設置して事故を防ぐための手段を講じました。

 

《例:信号機以外での対策》

②-1 ルールだけだとなかなか守ってもらえなくて事故が起きるから(リスク予見)

   →罰則を作って事故を防ごう!(リスクの回避)

②-2 罰則が軽いとぜんぜん守ってもらえなくて事故が起きるから(リスク予見)

   →厳罰化して事故を防ごう!(リスクの回避)

 

信号機以外の例に関しては必ずしもそうではないかもしれないですが、このような対策をとることはできますね!

そうだね!まずは何が起こるのかを予見して、それに対して同のような対策をするのかがリスクの回避になるんだね!

そうだよ!特養という施設だけではなく、日常でもリスクマネジメントというのは行われているんだよ!

勉強になりました!

 

☆特養においては・・・

介護サービス提供上起こり得る様々なリスク(事故)を事前に予見して、リスク(事故)を未然に回避する、入居者の安全確保手法及び施設及び自己防衛手法です!

 

2.ヒヤリハットについて

ヒヤリハットとは、重大事故に危うく繋がるような「ヒヤッ!」「ハッ!」というような状況を指す言葉です。冷や汗をかくときの「ヒヤリ」と声も出ないほどあっと驚く「ハッと」を掛け合わせた造語です。

なるほど!こうゆう場面って結構よくあるよね!

そうだよね!介護現場だけではなくて日常生活でもよくあるよね!

《例:自動車》

自動車に搭載されているドライブレコーダーの映像で、車と車が接触する寸前に回避して「もう少しで事故になりそうだった。怖い思いをした。」というシーンを誰もがみたことがあるでしょう。

 

このように日常や介護現場では事故には至らなかったものの、危険な状況(ヒヤリハット)が発生することがあります。

ハインリッヒの法則というものがありまして、1件の重大な労働災害に対して、29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがあるという労働災害における経験的な法則です。

ハインリッヒの法則は、労働災害には何かしらの予兆や原因が必ずあるという教訓を示しています。

 

ハインリッヒの法則から考えると、介護現場の事故も300件のヒヤリハットの積み重ねで発生するものと捉えることができます。ですのでヒヤリハットを減らすことが事故を減らすことにつながります。

 

各施設でヒヤリハットの報告書があるとは思いますが、事故の発生を減らすことにつながるのはヒヤリハットをいかに把握していくかが大切です。これがリスクマネジメントにおける【リスク予見】につながります。なのでうちの施設にはヒヤリハットの報告書がありますが常日頃、何かヒヤリハットがあった場合はすぐに報告書を書くよう指導しています。

ヒヤリハットの報告書ってなんか悪いことしているみたいで、あんまり書きたくないんだよね。。笑

ちゃんと書きましょ!笑 全く悪いことしていることはないし、むしろさっきも話にあった通り、たくさん書いてみんなでこの利用者さんはこうゆうことがあったよ!って共有できることはすごくいいことだから!

そうだね!ちゃんとそうゆう場面があったらしっかり書きます!

※大前提、ヒヤリハットがないに越したことはないが、

ヒヤリハット報告書はとにかくたくさん書くこと。

ヒヤリハット報告書が多い施設 = よく利用者さんを観察している施設

ヒヤリハット = 事故防止の重要な手がかり

 

3.過誤とは?

《過失の有無判断》

過失とは、『不注意・怠慢などの為に犯した失敗』です。

施設における『過誤』も過失が認められた場合に『過誤』と分類します。

また法的な過失の判断根拠は以下の通りです。

事故発生の予見が可能であり、その結果を回避する行為義務があったにもかかわらず、結果回避義務を怠ったこと。

このように、施設内におけることで、予見できるリスクは対策を講じ、リスク(事故)を回避しましょうって法的にも言われているんですね!

そうだね!危ないと思ったら、ちゃんと対策を立てて防止するようにしましょう!

 

予見可能性

事故が発生することが客観的に予見できたかが過失の入り口となります。

事故の発生が予見できない場合には、予見する事さえできない結果(事故)を回避する義務もありません。したがって過失は問われません。

事故の発生が予見できた場合には、その結果(事故)を回避する義務が生じます。

 

《結果回避義務》

予見可能な事故が発生した場合、予見できた結果(事故)に対して回避する義務を果たしたかが過失判断の決め手です。

結果回避義務(事故防止策)が客観的に行われていたと判断されれば過失は問われませんが、怠っていたと判断されれば過失が問われることとなります。

 

①事故の予測をしなかった。

a.一般的に予測不可能 →自己責任

b..一般的に予測可能   →施設責任  

    

②事故予測した

a.対策をした     →自己責任

b.対策をしなかった  →施設責任

 

つまり、

①-a.とっても元気に歩いている人が転ぶ分には、誰も転ぶと思わないので自己責任ですが、

①-b.誰が見ても転ぶ危険性が高い人が転んだ時に、『転ぶと思わなかったー』は施設の責任です。

 

②-a.『わーなんかあの人転びそうだなー』と思って何かしらの対策をとっていた場合に転んだ場合は自己責任ですが、

②-b.『わーなんかあの人転びそうだなー』と思っているだけで転んだ場合は、施設の責任です。

 

3.過誤にフォーカスする理由

施設におけるリスクマネジメントの意味》

介護施設におけるリスクマネジメントは、施設防衛手法の意味合いが大きいです。

究極的には裁判に負けないようにすることです。

 

そこで、過失の有無や責任の所在を明確にして、過失のある事故『過誤』にフォーカスし対策を講じてく必要があります。

人間が行うサービスですから100%完璧とはなりませんが、少しでも減らしていくことと、過誤に取り組んでいる姿勢が、施設の過失を減少させることとなります。

 

《施設における過失責任》

対外的な過失責任として、第一義的には施設長になりますので、職員個人の責任が問われることはほとんどありませんが、刑事・民事における重大な事故の場合はもちろん個人の責任も問われます。

 

上記のとおり一般的な過誤であれば、対外的には過失責任は問われませんが、施設内では職員個人の責任として適切に対処していく必要があります。

 

4.過誤判断の一例

①誤薬

〔過誤〕個人の過失もしくはシステム上の不具合です。

 

②歩行自立安定の方が転倒して骨折した。

〔事故〕転倒することが予見できませんので、回避する義務も生じません。

 

③歩行不安定で転倒事故を何度も繰り返しているが、特に対策もせず転倒した。

〔過誤〕事故の実績があり事故が予見できているにもかかわらず、回避義務(対策)をしていない。

 

④ベッドからの転落歴があるためセンサーを設置している方が、センサー作動したものの職員が他者対応中のため対応が遅れてしまったがために転倒して骨折した。

〔事故〕事故発生を予見して回避義務(対策)としてセンサーを設置しており、回避義務を果たして

いるため過失が問われない。

 

⑤センサー電源の入れ忘れで転倒事故が発生した。

〔過誤〕仮にセンサーが作動していても転倒した可能性は残るものの、回避できた可能性も残るこ

とから、個人の過失が問われる。

 

⑥爪切りを行ったところ皮膚まで切ってしまった。

〔事故〕厳密にいえば個人の過失が認められるものの、ここまでの過失を問うと身体援助自体が困難となるため、過失は問われません。

同様に、通常通りの衣類の着脱解除の際にできた内出血等も過失は問われません。ただし明らかな強い外圧が認められる場合には過失が問われる可能性があります。

 

⑦チーム内のルールとして2人介助での移乗介助としていたが、個人の判断により1人で移乗介助を行ったところバランスを崩して下肢がフットサポートに接触してしまい、下肢に内出血ができた。

〔過誤〕1人介助では怪我をしてしまう可能性を予見して、回避義務として2人介助としてるなかで、職員個人の判断により1人介助を行ったことは回避義務を怠ったことになり、個人の過失が問われる。

このように、施設やチームで定めたルールを守らなかった場合も個人の過失が問われます。

また、ルールを把握していなかった場合には、そのルールの周知方法により責任の所在が変わります。周知方法が客観的に個人が把握すべきと認められれば、“知らなかった”では済まされない個人の過失、同様に把握できずもやむなしと認められれば、施設やチームの過失が問われます。

 

⑧利用者を殴った。

〔虐待〕です。

 

以上のように簡単に例を挙げましたが、まだまだ沢山の事例があります。

事故や過誤が発生してしまうことは致し方ない部分も多いと思います。そのようなことになってしまった利用者さんには申し訳ないことではありますが、何よりもその事故や過誤を次に生かすにもしっかりとなぜ起きてしまったのか、何が原因だったのか、次起きないようどのようにしていくべきかをしっかりと検討し、再発しないように努めていきましょう!